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177. はがきと切手と高低差



プライベートアルベルゲ、とは私設の巡礼宿のことだ。ちなみにパブリックアルベルゲは公的な機関、その街や州が設置したアルベルゲだ。パブリックのほうが安いが、サービスはそこそこでベッドのぎしぎししたり清潔感がちょっと足りなかったりする。

プライベートアルベルゲだけに泊まれば快適だろうし、別に巡礼宿に泊まらなくてもオステルでもホテルでも好きなところに宿泊すればいい。


私はなにも考えずに疲れたのでここの泊まることにした。
やはりベッドが確保できなかった恐怖には代えられない。

節約したい人はパブリックアルベルゲを狙う。
私も多くはパブリックアルベルゲに宿泊した。




このアルベルゲには庭があり、パラソルとテーブルと椅子があったので、赤ワインを飲みながらせっせとはがきを書いた。切手は買いだめしているのですぐに投函できる。




私はここで初めて他の巡礼者がガイドブックを見てああでもない、こうでもないとやっている「意味」を知る。

彼らが持っているガイドブックには高低差が書いてあるのだ。
私は12kmならそのまま12kmとしか考えていなかった。
しかし平地の12kmと上りの12kmとでは難易度が全然違う。

私はあんなところに丘があるとは知らなかったが、彼らはそれを知って計画を立てていた。

情報がない、というのはこういうことか。
と身を持って知った。

今後、私は高低差も考えるようになった。情報が手に入れば、の話だけど。