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271. 血のソーセージとつらいカミーノ

 











2022/10/26

山の上の教会とアルベルゲしかないので、ペリグリーノたちは同じ場所で午後を過ごした。

レストランの巡礼者定食は血のソーセージ。

嫌がる人もいたが、私は好奇心からわくわくして食べた。

中に入っている白いのはお米で、スパイスがきいてパンチのある味つけ。

味はレバーに似ていて、鉄の味もした。当然か。

赤ワインがおいしく飲める味。


誰に話しかけられてもフランス語で返事をし、「フランス語はわからない」と言ってもフランス語で話しかけてくるフランス人夫婦がいた。

怒る人もいたし、フランス人らしいと言う人もいた。

私はあまり好きじゃなかった。

英語も理解して、英語で話しかけられて相手の言っていることはわかるのに、相手がわからないと言っているフランス語で返事をしているのが、私には好きになれない理由として大きかった。




食後はいつものように情報収集でうろつく。

すると別のところで、大勢で食事をした片づけをしているところがあった。

なにかと尋ねると、そこではニンニクのスープが提供されたのだと教えてくれた。


カミーノ本やカミーノブログでも必ずと言っていいほど出てくる「教会が提供してくれるニンニクスープ」。

カミーノの師匠も美味しくておすすめされていたのに。

私も楽しみにしていたのに。


いろんなことががっかりで、落ち込む。


「みんなが楽しんでいるのに、どうしてかタイミングを逃して楽しめない」ことがよくある。

「なにか騒がしいけど自分は他に気になることがあるから、あとで」とか、鈍感で気づけなかった、とか。

あとは要領が悪くて乗り遅れるとか。

ちなみにこれを書いているときは「全国旅行支援割引」でわいわいしたあとなんだけど。

自分も旅行に行く計画を立てたのに、全然その恩恵に預からなかった。乗り遅れ、出遅れ、運のなさなどなど。


やっぱり自分はだめなんだ。



のちになっても、今でも「もう一度カミーノを歩きたいですか」と聞かれるととても複雑な気持ち。

しかし久しぶりにカミーノの写真と自分のカミーノに向き合ってみてはっきり言おう。

歩きたくない!!!


歩き終わったあと「すぐにでも歩きたい!」と言う人が多くて、私はびっくりした。


他にも言葉がわからないことに加えて、コミュニケーションが下手で苦手。

なのでずっとずっと孤独だった。

ひとりでいつも「できない自分」、「だめな自分」、「人から相手にされない自分」に向き合っていた。

とってもとってもしんどかった。


もしガイドブックを持っていたら。

もしもっと他の人と接していてニンニクスープのことを教えてもらっていたら。


考えてもどうしようもない。

自分でガイドブックを持たないと決めた。



今ならもうちょっとうまく諦められるような気がする。