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204. ホスピタレイロの仕事



ホスピタレイラとしての朝が来た。

巡礼者が旅立つのを見送ると、まず施設の清掃。
そしてシーツを整える。


安いアルベルゲは不潔だ、といって利用しないペリグリーノもいた。
ここではシーツは毎回洗わずに、寝返りでよれたシーツをぴんと張るようにかけ直すだけだった。
順番に洗濯はしているっぽいが、ベッドも「ベッドマットのみ」のところもあるし、ベッドのおそろいではない。
いろいろと寄せ集めて始めたアルベルゲのようだった。



このアルベルゲを管理している人は複数人いた。
そのうちの一人と話をちょっとだけした。

自分もかつてはペリグリーノで、何度かカミーノを歩いた。
今度はペリグリーノを支援する側になりたいと思い、ホスピタレイロになった。
満足しているぶん、ペリグリーノがうらやましく思う。
休みがなく、自分がカミーノを歩けなくなってしまった。



そんな話をする中で、「僕と一緒にカミーノを歩こう」と情熱的な目で見つめながら誘われた。




このときの私の恋愛事情を語ると恨み節と毒がわんさか出るので割愛するが、「素敵!いいわ!」と返事ができるほどの心ではなかった。