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248. 私の好奇心とエンジェルちゃん








20220919

川のそばの新しい町っぽい写真のブログに
「なにかが写っていて、なにかが始まっていたのをまだ知らなかった」
と思わせぶりに書いた、その続き。


この街のこのアルベルゲに泊まる気になったのは、前日のことだった。

前日泊まった街で集めた情報に
「テンプル騎士団」のなんとか修道院
という言葉が読み取れたからだ。

世界史を専攻しておらず、キリスト教の歴史にも詳しくないがなんとなく
「テンプル騎士団」やあと確か「シオン修道院」だったかな。
とにかく、自分の中に引っかかるものがあり、大興奮しながらそのアルベルゲに泊まることを決めたのを覚えている。

なにかありそうじゃん!



このアルベルゲは街に入ってすぐのところにあった。

この街に入る直前、私は見知らぬ男の人に「よく歩くね」と声をかけられた。

たしか英語で
“You walk well.”
だったと思う。

「どういう意味だ?」と思った。

私の中の英語では
wellは
「よく」「上手に」という意味。

「は?上手に歩く、ってどういうこと???」
とひどく困った。

そして小柄なアジア人女性(それも見た目は若め)がガイドブックもなしに歩いていて
“brave girl”
とも言われた。
「ガール」という年でもないが「勇敢な女の子」という意味だ。

なので私は
「でかいザックを背負いちびのアジア人女性(見た目若め)ががんばって歩いてるね」
と、まるで子どもをほめるように言われたのかもしれない、と思った。

ヨーロッパでのほめるポイントはわからないし、この人の意図もわからない。

でもきっとほめられているのだと思い、
“Thank you.”
と答えた。


私としては、興味津々のアルベルゲを目指すほうが先である。

この時点で私の記憶にあるのはこのくらいである。


あとは夜になり、寝るときにベッドの下の段の男性に「上と下を替わろうか」と言われたことだ。

2段、あるいは3段ベッドだと下のほうが身動きが取りやすく、準備もしやすいので下の段から埋まっていく。

私はなんでそんなことを言われるのかわからず、「大丈夫だ」と丁寧に断った。

あとは消灯後、いびきの大きな人がいて多くの人が寝られず腹を立てていたら、誰かがその人の寝ているベッドの柱をスリッパでバーンっと叩いたらいびきが止まり、あちこちから無言の感謝やブラボーみたいな声が聞こえた気がしたこと。
そのあと静かによく眠れた。

このとき、私は全然知らなかった。
自分が天使だと思われていただなんて。