ピレネー山脈を越えて初めてのアルベルゲ(巡礼宿)で、ここしかないため大きくて広いです。
迷子になりそうでした。
二段ベッドは2つをぴったりくっつけています。
少しでもベッドが置けるようにだと思います。
私は下の段でした。
最初、2枚目の写真のように暗く撮れたので、取り直しました。
薄暗さがわかると思います。
そんなにきつきつではありませんでしたが、ぴったりとくっついた隣のベッドには屈強なおじさまが寝ることになりました。
教会のミサのあと、この日の朝会ったドイツ人女性たちと夕食をとり(なぜか写真がない)戻ったらおじさまが隣にいました。
もちろん柵なんてありません。
襲われたらひとたまりもないな。と思いました。
これだけの人数がいるので、大声を出せばなんとかなるかとも思いました。
自分が日本から持ってきた「情報」はここまで。
あとは黄色い矢印しかありません。
アルベルゲの入口やレストランなどで地図があるものをかたっぱしから奪ってきました。
そして、とにかく「必要なものはやってくる」というカミーノの師匠のことばを自分に言い聞かせていました。
そんなこんなことをして、消灯時間になったのですが、このとき、不安で不安で、
「あたし、なんてことをしちゃったんだろう!」
と、静かに泣きました。
日本に帰りたくても、帰り方がわからない(ピレネー山脈の中からどうすればいいの?)。
1年半の準備期間を経て、仕事を辞め、旅立ちましたが、自分の人生、これでえかったんじゃろうか?
仕事のことも生活のことも未来のことも、とにかくとにかくなにもはっきりしたものがないので、「わからない不安」だらけでした。
しかし、帰り方がわからないのです。
そうなれば進むだけです。
ゴールにたどりつければ、パリまでの行き方がわかるでしょう。
帰りの飛行機はちょっとゆるい予約にしたので、早めに帰国もできます。
とにかく、帰るには進むしかない。
そんなことを思ったのを覚えています。
飛行機に乗り遅れ、緊張でレストランに入れず、不器用な私の巡礼が本格的に始まりました。
毎日、歩き続けるということ。
重い荷物を担ぎ続けるということ。
長丁場です。
負担がどれだけかかるかも心配でした。
そんな不安な夜をロンジェスバジェスで過ごしました。
* * * * *
先日、このスペイン巡礼に旅立って10年を迎えました。
なんだか長かったよ!
2006年のことと2016年の今のことを分けるため、日常生活を綴ったブログに書きました。
よかったら読んでくださいね。
Kyri*ate: スペイン巡礼から10年
私がスペイン巡礼をしてから10年経った。 10年経ってもなお、こんなにも自分を震わせる体験をしたことって、他にあったっけ?
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