034.　異国での不安が強すぎて、レストランに入れなかった。

城跡を後にした。

こんなお日様具合だけど、結構遅い時間だと思う。

そのあと、街で他の巡礼者とちょっと話をする。
50代くらいのカナダ人女性は、翌日に控えるピレネー山脈越えはとてもハードだから途中のアルベルゲに泊まり、2日に分けて歩くつもりなのだ、と話してくれた。
彼女は自分の携帯電話で予約を入れたらしい。

その後、私は疲労と疲れと緊張とで怖くて怖くて、アルベルゲの隅っこで、出発前に友達がくれたお菓子をつまんで、シャワーを浴び、ベッドに入った。
異国が怖くて、レストランに入れなかった。

「大丈夫」
といくら自分を励ましたところで、なんの効果もない。

空腹のまま一夜を過ごした。